藍染め写真撮影の想い出
こんにちは、チェコの藍染め ヴィオルカです。
2020年4月から予定していた藍染め作品展示会が中止になってしまいました。今後はどうなるのか、心配ではありますが、その反面、まとまった時間が手に入りました。
まずは、古い写真や書類の整理。そこで、いろいろな記憶がよみがえってくるので、少し書き留めておこうかなと思います。
ヴィオルカ設立は2014年8月18日。その前の月には、チェコの藍染め工房を訪問していました。設立までには1年弱の準備期間があり、そもそも経営するとはどんなことか?といった講座にまで出席していました。
さて、ここで本題に入りますが、この写真は2014年8月に吉田昭二さんという、プロのカメラマンさんに撮影していただいたものです。以前の仕事柄、資料の記録写真はたくさん撮っていたけれど、イメージ写真を撮るのは初めて、知り合いのカメラマンさんもいませんでした。どうしようと思っていたところ、ヴィオルカのロゴマークをデザインしてくださったグラフィックデザイナーのU.G.サトーさんからのご紹介でお願いできることになったのですが、先がどうなるかわからない仕事をはじめた私と話して、最終的に引き受けてくださった吉田さんも内心は「しょうがないなぁ」と思っていらしたと思います。なんといってもご自分の作品を発表されながら、名だたる企業のコマーシャル写真を撮っていたとお聞きして、もう本当に恐縮しました。でも、今になって、チェコの藍染めを使ってこんなに素敵な写真を撮っていただけたのは、本当に良かったと思っています。
その時は8カットほどお願いしました。自然光でなく、かっちりとライティングをして進めて行く撮影は本当に手がかかったものでした。この写真はそのうちの一枚で、古い曲木の椅子にチェコの藍染めクッションをアレンジし、近所の花屋さんで買って行ったユーカリの木をアレンジしました。スタイリストさんなんて頼めないので、全部自分でやりました。実はクッションも自分でミシンをかけて作った試作品でした。
曲木の家具は、チェコで大量に生産され、日本を含め、全世界に輸出されてきたものです。これは、プラハの骨董屋で買った私物で、「フィシェル」という今はもうないメーカーのもの。トーネットがはじめた樫の木を曲げて作る製法を取り入れ、北チェコで1870年創業した家具メーカーです。座面の裏には「フィシェル」という名前の書かれたボロボロの紙が貼ってあるだけなので、いつのころのものかはわからないのですが、デザインからは創業から時代は下っていないのかなと思っています。機会があれば、博物館に問い合わせて教えてもらおうかと思います。
吉田さんは夜にお仕事をするからということで、午後、タクシーでトランクに詰めた自分でスタイリングした小物と曲木椅子も持って(!)スタジオにうかがって、撮影をはじめ、全カット撮るのに、2日がかり。特にこのクッションのカットは、はじめはもっと違う構図だったのですが、納得できないからと、吉田さんが夜中に撮り直してくださったもので、私の一番のお気に入りになりましたし、撮影の姿勢も含め、プロってすごいなと心から思ったものです。
たぶん次に続く
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