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チェコの藍染め

ヴィオルカの紹介する藍染めをえ制作している。この生地から藍染め服、藍染めインテリアが制作されます。

ごあいさつ

フランチシェク・ヨフと申します。私は、家業であるモラヴィアの藍染め職人の伝統を継承する三代目にあたります。私たちの藍染め工房は、1906年、私の祖父であるツィリル・ヨフによって設立され、その後を継いだのが、私の父、フランチシェク・ヨフでした。そして父の元で、藍染めのプリント技法を学んだのが、私です。私の作品が、私たちのパートナーであるヴィオルカを通じ、日本でも紹介されることを大変うれしく思っています。そして日本の地でも、私の作品を愛し、大切にしてくださる方々が生まれるであろうことを固く信じております。

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ガブリエラ・バルトシュコヴァーと申します。私はヨフ家の5代目にあたります。フランチシェク・ヨフは私の大叔父であり、同時に親方であり師でもあります。藍染めを通したチェコと日本の文化の結び付きはユニークであり、また自然なことと受け止めています。藍染めは私たちが誇りに思うそれぞれの国特有の伝統であり、また両国を繋ぎ、近づけるものです。家の伝統、国の伝統、そして国際的な伝統を継承することは名誉なことです。この伝統を守り、また次の世代に渡すためにできる限りのことをしたいと思います。

民族工芸伝統保持者

ヴィオルカの紹介している藍染めの製作者、チェコの伝統藍染めマイスター、フランチシェク・ヨフ氏は、2004年、チェコ共和国文化省より「民族工芸伝統保持者」の称号を授与されました。この称号は、ユネスコの「無形文化遺産」の考えに基づいたもので、毎年卓越した伝統技術をもつ工芸品製作者に送られます。称号保持者はそれぞれの専門分野に関する幅広い知識、技術と品質の高さ、製品普及への貢献、地域への貢献、伝統技術を後世に伝承する努力を行っていることが認められています。

2015年、チェコの藍染めがチェコ共和国無形文化遺産に指定され、また2018年11月28日には、ユネスコの世界無形文化遺産に登録されました(オーストリア、チェコ、ドイツ、ハンガリー、スロヴァキアが共同で提案)。

ヴィオルカは、チェコの重要な文化財産である藍染めをたくさんの日本の人に知っていただき、伝統技術継承の一助になることを願っています。

ヴィオルカの紹介するチェコの藍染め 工房 

知られざる伝統の布 チェコの藍染め

深い紺色に鮮やかな白のコントラストが美しい布地。 大航海時代にヨーロッパの地にもたらされた印度藍と凸版の木型を使った型染め技法で作られた、チェコ伝統のブルー・プリント、藍染めは、アジアから遠く離れた地で、素朴で温かみのある独自の花を咲かせました。しかし、多くの藍染め工房が廃業、第二次世界大戦後に世界が分断されたことで、日本では、いままで、知られる機会がほとんどありませんでした。
伝統のハンドプリントで藍染めを染め続ける工房の製品は、現在では大変稀少なものです。

日本、チェコ、そして世界中で愛された藍色

藍染めと聞いて、誰もがイメージするのは、まずは日本古来のもの、日本人の色(ジャパン・ブルー)ということではないでしょうか。たしかに藍染めは、日本人に長い間親しまれてきました。しかし藍は、どんな素材もすばらしく良く染めることができるため、世界各地で、古くから使われてきたのです。チェコの庶民の間に広まっていった藍染めは、最初、手織りの麻布を染めることからはじまりました。そして綿織物産業が発展すると、チェコの藍染めマイスターたちは、軽く、柔らかい風合いの平織りの木綿地に美しい藍を使って、精緻なプリントを施すようになりました。 目にも美しく、いわば染料の優等生である藍は、日本をはじめ、チェコ、そして世界中で愛されてきたのです。

受け継がれる創造性

中央ヨーロッパ、チェコに伝えられた型染めの技術は、多くの職人のクラフツマンシップによって発展してゆきます。木型職人が長い時間をかけてひとつひとつ手彫りで作った凸版の型は、プリントと染色を行う職人の手にわたり、独特の魅力を持ったオリジナルの藍染めへと結実します。 ヴィオルカの紹介するチェコの藍染めを作り続けているヨフ工房には、藍染めの歴史を物語る多くの木型が残されています。そして、それらを使って、100年以上の昔から変わらず、糊を使った型付けの作業が行われ、今日もなお、新しい布地が染め続けられているのです。いまでも、藍染めをめぐるクラフツマンの創造性はここに受け継がれています。

多くの女性に愛された藍染め

生まれ育った土地の風土によって、ワインの味わいや香りに無数の個性が生まれるように、チェコの藍染めにも、この土地で育まれた魅力が備わっています。
チェコの女性たちは、藍染め布地を身に着け、日常のあらゆるシーンで活用してきたことがわかっています。そうすることで、町に住む女性たちも、また村に住む女性たちも、生活の隅々に土地の自然そのものを取り込んできました。
ヨフ工房に残る古い藍染めのパターンには、「野いちご」「麦の穂」「パンジー」「小枝」「ローズマリーと野ばら」といった自然を図案化したものや、遠い山並みや粉ひき小屋の水車の輪、のこぎりの歯といった身近な物を図案化したものもあります。そのどれもが、自然とともにあり、日常の小さなことに目を留め、愛でる、つつましくも豊かな人々の暮らしを思わせます。
まだ、写真技術が一般的になる前の、モラヴィアの人々をとらえた版画には、藍染めのスカートを身に付けた女性の姿が見られます。この地方の女性たちは、細かく、繊細なパターンの踊る模様を好んでいました。藍染めのスカート模様は、ときに「濃紺の夜の海に落ちた数千の星」と描写されます。
そして、藍染めの布地を使った民族衣装を婚礼衣装にする花嫁たちもいたのです。花嫁は人生の佳き日に藍染めを身に着け、祝福を受けました。藍染めは、女性にとって、日常にも、晴れの日にも欠かすことのできない布地であったことがわかります。

自然と呼吸を合わせ、心豊かな毎日を送る。チェコの藍染めは、私たちに忘れてはいけない大切なことを思い出させてくれます。

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