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プラハ装飾美術館 リニューアル

チェコの藍染めヴィオルカです。

今年はチェコスロヴァキア建国100周年にあたり、それに合わせてリニューアルした施設や展示の公開がチェコ各地で相次いでいますが、ヴィオルカが藍染めをはじめとするいろいろな調べ物をしていたプラハの装飾美術館は、一足先の昨年、リニューアルオープンしました。

プラハの装飾美術館は、1885年にプラハ商工会議所によって設立され、その建物が竣工し、グランドオープンを迎えたのが1900年でした。

ヴォイチェフ・ラナという作品寄贈者から送られたステンドグラスの部分、竣工年も読み取れます。

それから、約100年を経て、傷んでいた建物の修復のため、プラハ郊外に新しい収蔵庫を建設し、2014年から長期休館に入ったのち、2017年11月に再び開館しました。

ちょうど1年前の9月、リニューアル直後の建物を見学できました。私が装飾美術館の図書室に通い始めたのが、1998年くらいからだったと思いますが、その時には収蔵品でいっぱいになっていて、公開されていなかった上階部分も見ることができるようになっていました。これで来館者も建築当時と変わらない建物の全体像を見られるようになりましたし、来館者用の施設レイアウトもがらりと変わって、使いやすく、気持ちの良い空間になっていました。

ガラス製造を表現した壁画、未公開だった博物館3階の階段室

オープニング展のタイトルは「DIRECTOR'S CHOICE」、文字通り現在の館長の選ぶ装飾美術館名品展といった趣のものでした。

「DIRECTOR'S CHOICE」カタログ、いつもお土産に本を持ってきてくれる知人に感謝

展覧会カタログは、コンパクトなのに中身がとても充実していて、作品解説を読んでゆくとそれぞれの作品の来歴のほか、ガラス、陶磁器、グラフィック、写真、家具、金工、テキスタイル、ファッションなど部門別のコレクションの性格まで分かるというスグレモノです。

たとえばミュシャの代表作のポスター「ジスモンダ」は、1897年に購入されたもの。この年、パリのサロン・デ・サンで開催されたミュシャの個展がプラハに凱旋し、その際に購入されたとのこと。プラハの美術界ではミュシャに対して長いこと賛否両論ありましたが、すでに押しも押されぬ売れっ子デザイナーになっていたミュシャの作品を装飾美術館が購入していたことから、新しいデザインを積極的に受け入れる美術館側の意気込みが伝わってくるようです。

今年の企画展示のハイライトと思われるのは、ヨゼフ・コウデルカの写真展です。コウデルカはソ連軍のプラハ侵攻(いわゆるプラハの春、今年はちょうど50周年)を撮影し、武力に対峙したチェコの市民の姿を世界中に知らせました(2018年9月23日まで)。

8月から始まった企画展示は、ハナ・ポドルスカーという戦前に活躍したチェコのファッションデザイナーを取り上げたもの。装飾美術館はSNSの発信にも力を入れていて、「ポドルスカーのドレスが眠っているご家庭はありませんか?そのドレスと購入されたときのエピソードが分かれば教えてください!」という投稿をしばらくしていました。地元の資料を調査し、じっくりと向き合うことができるなんて、本当に贅沢なことです。

チェコの工芸に関心のある人にはおすすめの美術館です。プラハ訪問の際にはぜひ訪ねてみてください。

プラハ装飾美術館

UMĚLECKOPRŮMYSLOVÉ MUSEUM V PRAZE

ulice 17. listopadu 2, 110 00 Praha 1 月曜休館 毎日10–18 時, 火曜日のみ10—20時

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