駐日チェコ共和国大使館 特命全権大使 マルチン・クルチャル氏からごあいさつを頂戴しました。
2023年11月10日に出版される『藍染めのアポレンカ』の出版と出版記念展に際し、クルチャル大使から、以下のような心のこもったごあいさつをいただきました。この文章を一目見て、これまでの仕事が報われた気持ちになりました。これからも真摯に仕事に取り組みます。
ごあいさつ
「古くから伝わる藍染め技法は、日本とチェコのユニークで意外なつながりを示すものです。この技法はチェコで200年以上続くものであり、日本でも同様に、興味深く長い歴史があります。両国の藍染めを愛する人々の手によって、この詩的な工芸は継承され、発展し続けています。2018年、チェコ共和国を含む中欧5カ国が推薦を受け、防染ブロックプリントと藍染めの技法はユネスコ無形文化遺産に登録されました。
しかしながら20世紀以降、伝統的な藍染めの存続は、両国ともに常に難しい状況にあることを認めざるを得ません。藍染め工房の数は激減し、伝統の技を受け継ぐ職人の高齢化が進んでいます。ですから多くの人にこの美しい伝統を知らせ、そしてその魅力を発見させるためのすべての活動を私自身とても高く評価しています。
そのような活動として、このたび開催される展覧会は丁寧に準備が重ねられたもので、会場ではチェコの民族衣装やチェコの藍染めから仕立てられた着物や帯をご覧になることができます。そして、これに劣らず重要なことが、ロマナ・コシュトコヴァー、ヴェロニカ・ヴルコヴァー、ヤン・シュラーメクによる美しい絵本『藍染めのアポレンカ』の日本語版が、チェコの藍染めを愛する日本の人々、アトリエシムラ、求龍堂、なかでもヴィオルカの小川里枝さんの努力により完成したことです。また、本の帯には日本の染織の第一人者・志村ふくみさんが言葉を寄せられています。この絵本は伝統的な染色の工程を子どもたち、さらには大人たちにおとぎ話のようにやさしく説いてくれます。
現代社会に生きる私たちは画一化、自動化、そして絶え間ない加速化に晒されています。しかしながら専門家も一般の人々も、手仕事は今日でもなお多くの可能性を秘めていることを知っています。チェコの藍染めは現代社会に対し、見事に抵抗してみせています。藍染めがこれからも発展し続け、何代にもわたりその美しさを楽しむことができますように。絵本『藍染めのアポレンカ』がその一助になると信じています。」
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